中国では現在、今年度の重要な政策を審議、決定する全国人民代表大会(全人代)と全国政治協商会議(政協)が開催中で、その代表者の総数5138人のうち、152人の総資産額は4兆元(約67兆円)に上り、昨年の3兆5000億元(約58兆5000億円)に比べて14%増となっていたことが分かった。
この事実を伝えた米政府系報道機関「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」は「両会は『スーパー富豪クラブ』だ」と揶揄しているが、中国のネット上では「アメリカのトランプ政権もトランプ大統領を筆頭に、ビジネス界出身の大富豪が多い『スーパー・リッチ・クラブ』じゃないのか」との反論の声が出ている。
全人代と政協とも日本の国会に相当し、1年に1度開催される重要会議で、全人代は衆議院、政協は参議院に例えられることもある。議員に相当する代表の数は全人代が2980人、政協は2158人で、その大半は党・政府幹部だが、とくに政協の代表は国民によく知られているビジネス界やスポーツ界、芸能界などの出身者が多い。
VOAは毎年、中国人の長者番付を発表する「胡潤研究院」の最新調査の内容として、両会の代表のうち、個人の総資産額が20億元(約334億元)以上の代表は152人にも上っていると報じている。トップはインターネットサービス最大手「騰訊(テンセント)」創業者の馬化騰会長。2位は、2月にドイツ自動車大手ダイムラーの筆頭株主になった吉利集団(チーリーグループ)の李書福会長だった。
同研究院による昨年の長者番付のトップ10の富豪10人の個人資産総規模は1兆6700億元(約28兆円)にも達している。世界銀行によると、この額は世界150カ国以上の国々の国内総生産(GDP)よりも多いという。