森友学園問題で交渉を担当した近畿財務局の職員が自殺し、佐川宣寿・国税庁長官が辞任、結局「書き換え」を認めるなど、政府・財務省は大揺れに揺れている。財務省が国会に提出した森友学園への国有地売却文書の「書き換え」という朝日新聞の“爆弾報道”は、安倍政権に大きなダメージを与えた。最も衝撃を受けているのは自民党だろう。小泉進次郎・筆頭副幹事長の危機感あふれる発言がそれを象徴している。
「今までの(森友)問題とは質が違う。与党としての自浄能力も試されている」
まともな政治家であれば、顔色を変えるのは当然だろう。霞が関の中心である財務省が、憲法で「国権の最高機関」と定められた国会に“虚偽”の文書を提出していたとすれば、議会制民主主義の根幹にかかわる重大事態だ。役人が首相の意向を忖度して一学校法人に便宜を図ったかどうかというこれまでの森友問題とは全く次元が違う。
政府の対応を見ても事態を深刻に受け止めていることは明らかだ。朝日の報道が事実無根であれば、「大の朝日嫌い」の安倍晋三首相はそれこそ鬼の首を取ったように即座に反論してみせるはずだが、今回はダンマリを決め込んでいる。
批判の矢面に立つ麻生太郎・副総理兼財務相は、発言を二転三転させた。3月5日の参院予算委員会では、検察の捜査中であることを理由に、「口裏合わせととられかねないことは捜査当局から控えるように言われている。個別調査はなかなかしにくい」と調査の引き延ばしを図ろうとしているように見えたが、翌6日には一転して「全省あげて調べる」と述べた。