日本の部位別がん死亡数では肺・胃・大腸に次ぐ第4位の「膵臓がん」。年間3万人以上が亡くなっている。
「膵臓がんの患者を診るのは敗戦処理の投手」とある医師は言った。PET(陽電子放射断層撮影装置)検査やCT検査による早期発見が難しい上、進行が早い。多臓器に転移し、有効な治療法もないので、あっという間に死に至るからだ。
「膵臓がん」の5年生存率は、2cm以下で発見された1期で41%、進行がんも合わせると、僅か9%でしかない。「胃がん」の1期が97%、全期で73%と比較すると、厳しさが際立つ。
その膵臓がんを完治可能な段階で発見できるのが、「超音波内視鏡検査」だ。膵臓がんの専門家・菊山正隆医師(がん感染症センター・東京都立駒込病院)の元には、超音波内視鏡検査を受ける患者が殺到している。
「膵臓がんは、長さ約20cmの膵臓の真ん中を通る膵管の粘膜から腫瘍ができていきます。その粘膜内に留まっている“0期”で発見して外科手術で摘出すると、100%近い確率で完治可能です。超音波内視鏡検査を使えば、患者の負担を少なくしながら“0期”の膵臓がんを発見できる機会が得られます」