今年6月からいよいよ“合法解禁”される民泊。個人だけでなく企業も続々と民泊ビジネス参入へと動き出しているが、すでに違法民泊も横行している昨今、果たして混乱なく民泊は定着していくのだろうか。住宅ジャーナリストの榊淳司氏がレポートする。
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2017年6月、いわゆる民泊新法(住宅宿泊事業法 ※注)が成立した。施行は2018年6月15日から。それに伴い、民泊事業者の届け出が3月15日から始まっている。
※注/全国で民泊を解禁する法律。個人や企業が自治体に届け出れば、一定条件をクリアすれば年間180日を上限に民泊の営業ができるようになる。地域性に合わない場合は、都道府県や東京23区が営業日数や地域を制限する条例を制定することも可能になる。
この法律の施行により「いよいよ民泊が合法化される」ということになっているが、民泊業者たちの動きは鈍い。この新法の施行をちっとも歓迎していないように思える。むしろ規制がハッキリとすることで「民泊がやりにくくなる」という状況になっている。
まず、そもそも「180日ルール」の存在がある。この法律で定められた通り年間180日以内の営業だと、民泊をビジネスと捉えた場合はほぼ儲からない。
民泊を行った場合は、宿泊者の予約受付や鍵の受け渡し、チェックアウト後の清掃や備品補給、さらには光熱費の負担など、通常の賃貸に比べて様々な手間とコストが生じる。これらを勘案した場合、年間180日未満の営業では通常に賃貸するよりも収益が劣ってしまうケースがほとんどだ。
次に、この「180日ルール」でさえ各自治体がさらに短く規制することができる。つまり、民泊について、自治体側は規制のフリーハンドを持っていると言っていい。