それに続く章では政治の世界での思い出話が続くが、とくに目を引くのは後半の第4章だ。そこではふだんほとんど語られない家族の話になり、小泉流子育て三原則が披露される。それは「・しっかり抱いて、・そっと下ろして、・歩かせる」というのだから、その簡潔さに思わず笑ってしまう。
私も脱原発の運動を通じて近年、小泉氏に会う機会が多いのだが、その私利私欲のなさ、シンプルな発想と決断力、そしてどんな場でも主役になってしまう人間力に舌を巻くことが多い。「コイズミとは誰だったのか」はまだ十分、解き明かされていない。そのひとつのヒントが本書に隠されている。
※週刊ポスト2018年3月23・30日号