高速道路など有料道路の料金所で停止することなく通過できるETC(自動料金収受システム)。ドライバーにとってはすっかりお馴染みのシステムだが、そのETCが進化しているのをご存じだろうか──。果たして進化版ETCを利用するとどんなメリットがあるのか。モータージャーナリストの鈴木ケンイチ氏が解説する。
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高速道路の料金を支払う便利な仕組みがETCです。電車に乗るときに使うICカードのように、高速道路の乗り降りを記録して、料金をクレジットカードで決済してくれます。2001年の本格導入から17年をすぎた現在では、すでに高速道路を走る90%以上のクルマが利用しており、すっかり制度として定着しています。
そんなETCですが、2014年より「ETC2.0」という第二世代が登場しました。ただし、古いETCも存続しているため、ユーザーはETC2.0と旧来のETCのどちらも選ぶことが可能です。では、いったい、どちらがユーザーにとってお得なのでしょうか。
◆ETC2.0にできて、旧型ETCにできないことは
新世代のETC2.0は、何が旧モデルと違うのでしょうか。最大の違いは通信能力にあります。
旧来のETCは、高速の乗り降りのゲートだけで通信していました。それに対して新しいETC2.0は、高速道路の途中にあるITSスポット(全国の高速道路上約1600か所)でも、走行中などに通信を行います。これによって、走行中でも最新の情報を受け取ることができますし、運用側からすれば、クルマがどこを走っているのかがわかるようになります。ちなみに、このときの通信料金は無料です。
走行中に通信が行えることで、どんなメリットが生まれるでしょうか。まず大きいのが、刻一刻と変化する最新の渋滞や事故情報を受け取ることができます。同じように、走行先の渋滞末尾や落下物、天候による路面状況などの情報も得られます。
ETC2.0対応のカーナビを併用していれば、ナビ画面に渋滞の地図や静止画などを映しだせます。ナビがなくても良いように、音声で読み上げる機能付きのETC2.0車載機も用意されています。さらに、災害が発生した場合は、災害の発生状況と対策法などの情報提供も行われます。
また、走行ルートがわかるので、特定のルートを選んだユーザーに対して、高速料金の割引ができます。現在、都心部を避けて圏央道を利用したユーザーに約2割の割引を実施しています。今後は、事故渋滞などで一時的に高速道路を降りて、再び高速道路に入ったユーザーに、高速料金が二重にならないような料金同一化が予定されています。
つまり、旧来のETCは、高速道路の料金の支払いのみであったのに対して、ETC2.0は情報提供サービスや通行料金割引などのサービスが受けられるのです。