私にも仲のよい選手が他チームにいた。アマチュア時代からの付き合いで、オフには飲みに行くような仲だったが、シーズン中はお互い絶対に表に出さなかった。それでも対戦したときはやはりきわどいコースに投げられなかった。ピッチャーはいかにバッターとのしがらみを断つかが肝心。他チームの選手と親しくなって真剣勝負なんかできるわけがない。
結局、人間関係が緩んでいるということ。球場に行くと、若い選手が私たちの顔を見て「ご苦労様です」と言う。いやいや、「ご苦労様」は目上が若い者に言う言葉だろうと。私の現役時代なら監督から大目玉を食らっていた。そういうことを注意する指導者がいないのが一番の問題かもね。
※週刊ポスト2018年3月23・30日号