日韓関係好転のカギを握るのは両国の外交姿勢だろうか。それとも国民感情だろうか。いずれにしても、客観的事実を伝える報道機関の役割と責任は重い。ところが、日本の朝日新聞は自らの責任を顧みることなく韓国に関して相も変わらぬ報道を続けている。朝日新聞OBのジャーナリスト、前川惠司氏が苦言を呈する。
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〈嫌韓 共催W杯が刺激した〉
今年1月16日の朝日新聞に載った記事の見出しだ。2002年の日韓共催、サッカーワールドカップ(W杯)を韓国で観戦した日本人男性が、日本代表にブーイングする韓国人や韓国代表のラフプレーに失望して〈韓国の印象が悪く〉なり、「嫌韓」感情を抱いたと紹介している。
続けて、現在の日本に広まる嫌韓ムードに触れ、〈1998年の小渕恵三首相と金大中大統領による日韓共同宣言の流れの中で開かれた2002年W杯だったが、こうした「嫌韓派」が増えるきっかけになったという見方がある〉と書いている。
これはこじつけだ。今の嫌韓感情は、2008年に大統領に就任した李明博と続く朴槿恵の慰安婦問題などの「反日」焚き付けへの反発からだ。今年2月の平昌五輪に絡めて、韓国のメガイベントが日本人の嫌韓感情を刺激し増幅させるという「ストーリー」に合わせるためにW杯騒ぎをこじつけた、典型的なひっかけ記事と言われても仕方ない。