今月、空前の長寿番組終了ラッシュが始まっている。バラエティー番組を中心に、多くの番組がその歴史に幕を下ろすのだ。毎回は見ていなくても、つねに“そこにある”はずだった番組が終わることは、大きな喪失感を伴う。史上最大のロスとどのように向き合えばいいのか。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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22日、『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)の最終回が放送され、30年超の歴史に幕を閉じました。24日には22年の歴史を持つ『ランク王国』(TBS系)、25日には19年の歴史を持つ『ウチくる!?』(フジテレビ系)が終了。週をまたいだ30日にも放送20年の『「ぷっ」すま』(テレビ朝日系)、31日にも放送22年の『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)が終了するなど、ついに長寿番組の終了ラッシュがはじまりました。
さらに、長寿番組ではないものの、29日で『おじゃMAP!!』(フジテレビ系)が終了することで、香取慎吾さんの地上波レギュラー番組がゼロに。『あさイチ』(NHK)も今月末で井ノ原快彦さん、有働由美子さん、柳澤秀夫さんの名トリオが番組を卒業します。
◆「とんねるずが見たい」と後継番組へバッシング
これらが矢継ぎ早に訪れることで予想されるのは、猛烈な喪失感。2014年3月31日に『笑っていいとも!』(フジテレビ系)が終了したときを上回る過去最大の喪失感が迫っているのです。どんな声が飛び交い、どんな心理状況になるのでしょうか?
最も多そうなのは、「とんねるずが見られない……」「香取慎吾が見たい!」というタレントに対する喪失感。『笑っていいとも!』終了後、「タモロス」に陥る人が続出したのと同じ状況が起きるのではないでしょうか。
次に飛び交うのは、後継番組へのバッシング。長年親しんできたものがなくなってしまったことによる、やり場のない寂しさが、新番組に向けられる視線を厳しいものにするのです。「前のほうが全然面白かった」「今すぐ元の番組に戻せ!」「これでテレビを見る機会がまた減る」などの辛らつな言葉が飛び交うでしょう。
終了直後は、ただ感傷的になっているだけであり、改編期で大型特番が多いため気もまぎれますが、4月入って新番組がスタートしたとき、初めて本当の喪失感に気づかされるのです。
◆ロス軽減には動画配信サービスもアリ