開幕を30日(日本時間)に控えて期待は膨らむ一方だ。このオフ、米メディアが最も取り上げた野球選手は投打の二刀流に挑戦する大谷翔平(23)である。
今年は奇しくも、野球王ベーブ・ルースが投手として2桁勝利(13勝)、打者として2桁ホーマー(11本)という記録を残してからちょうど100年の節目だ。
大谷への関心の高さはキャンプ地・アリゾナ州テンピで実感した。例年なら記者席が埋まることすら少ないのに、今年はオープン戦のたびにメディアで溢れ返っている。右翼フェンスの向こうには記者会見用テントまで用意された。松井秀喜がヤンキースから移籍したときもなかったことだ。
球場内のショップでは関連グッズが飛ぶように売れ、大谷の野球カードは発売24時間で過去最高の1万枚以上を売り上げた。
二刀流への挑戦は野球へのロマンを駆り立てると同時に、メジャーの戦略に重大な影響を与えるインパクトがある。あるスカウトは「大谷はメジャーの在り方を激変させる可能性がある」と語った。
「エンゼルスは課題だった先発投手と左打者の補強を1人の選手でまかなえた。メジャー球団はどこもベンチ入り25人という少ない登録枠に苦しんでいるが、『二刀流』はこの問題をクリアする。大谷のような“2人分”の選手がいれば、本来ベンチ入りできなかったリリーフ投手を1枚増やすことができるからだ。二刀流は“実質26人で戦える”というメリットをもたらす。大谷が成功すれば、必ず真似するチームが出てくる」