今年の私立大入試は、18歳人口が減少する中、志願者が昨年に比べて約7%増える人気だった。国公立大が7年連続の志願者減となったのとは対照的な結果となった。
MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)、日東駒専(日本大、東洋大、駒澤大、専修大)がすべて志願者増。関西では近畿大が1992年の早稲田大以来、26年ぶりに15万人を超える志願者となり、5年連続トップになった。多くの私立大で志願者が増えた。
その中で私学の雄、早稲田大と慶應義塾大の志願者数は明暗が分かれた。早稲田は昨年に比べ2226人増の11万7209人、慶應は1544人減の4万3301人だった。
私立大人気の理由は受験生が併願校を増やしたことにある。慶應の志願者減について大手予備校の入試担当者は、
「慶應は併願しにくいことがあるのではないでしょうか。センター試験利用入試を実施していませんし、一般入試では国語が受験科目になく小論文ですから、私大型の受験生は併願校として選びにくかったのでしょう」
と言う。早稲田は当初発表した合格者数を2000人近く減らしており、大学全体の倍率も7.2倍から8.4倍に上がる厳しい入試だった。
その早慶の一般入試で合格者が多かった学校を見ていこう。まだ繰り上げ合格を含んでいない段階での比較だ。
早稲田大トップは開成(東京)の229人。学部別で見ても政治経済、法、基幹理工、創造理工、先進理工の5学部でトップだ。
2位が神奈川県立・湘南の188人で、商、文化構想の2学部でもトップだった。湘南は現役合格者数が129人でトップ、10年前と比べてもっとも合格者が増えている。中高一貫校が強い中で2位に入った。
現役合格者100%の学校もある。東京都立の南多摩中教は54人全員が現役だった。公立の中等教育学校で、2016年に初めて卒業生が出た。早稲田大合格者数は12人→38人→54人と順調に伸びている。
淑徳与野(埼玉)は女子校で、2005年に中学校を開校し実績を伸ばしており、合格者46人全員が現役だった。神奈川初の公立の一貫校の相模原中教も41人全員が現役だった。
この他でも、10年前には合格者ゼロから増えた学校も少なくない。34人合格の東京都市大等々力(東京)、26人の宝仙学園(東京)、22人の昌平(埼玉)、20人の新宿山吹(東京)、14人の淑徳巣鴨(東京)など。既にMARCHで合格者を伸ばしている学校も多い。
新宿山吹は普通科と都内で唯一の情報科のある都立高だ。都立初めての単位制高校として1991年に新設された。自分の都合に合わせ授業の時間割を自由に組め、教科・科目の単位を積み上げていくことで卒業できる新タイプの高校だ。
淑徳巣鴨は1996年に中学を開校し、中高一貫校として大学進学にも力を入れている。東京オリンピックの期待の星、水泳の池江璃花子選手が在学し、水泳部は強豪で知られる。
10年前には一桁合格に過ぎなかったが、大きく伸びた学校も少なくない。48人増で57人合格の大宮開成(埼玉)、43人合格で41人増の広尾学園(東京)と37人増の東京農大第一(東京)などだ。東京農大第一は2005年に高校募集を行わない完全中高一貫教育を行う中等部を新設した。併設の東京農大へも進学できるが、進学校として伸びている。