2月25日、第12回目の開催となった東京マラソンは、箱根駅伝で東洋大学を優勝に導いたエース・設楽悠太(26才)が2時間6分11秒で日本人2位となり、日本記録を16年ぶりに塗り替えたことが話題に。記録はもちろん、賞金1億円が贈呈されることもあって、例年以上に東京マラソンが大きなニュースとなった。
そうした喜ばしい記録とともに話題になり注目されたのが「光る運営」だ。『東京マラソンの素晴らしさは運営にも』『東京五輪に向け、新たな警備システムを東京マラソンでテスト』など、運営スタッフや、ボランティア、警備態勢を評価する声も多く報道された。そんな“縁の下”への注目度は2020年開催の東京五輪に向け否が応でも高まっている。
今や世界最高峰シリーズ『アボット・ワールドマラソンメジャーズ』(AWMM)にも加入し、国際的な都市型マラソンとして世界中のランナーに認められた大会となった東京マラソン。それを実現したのが“縁の下”の力だ。
◆1万人以上のボランティアが参加
コースを走るランナーに水を配る、沿道での観戦者に道を案内、車いすランナーの誘導──多くの役割を担うボランティアの数はなんと約1万3000人(2018大会)。
大会のボランティアを取り仕切るのは、自身もランナーである東京マラソン財団・運営統括本部ボランティアセンター長の山本悦子さん。山本さんが言う(「」内、以下同)。
「記念すべき第1回の2007年から毎年1万人前後、コース変更があった2017年からは大幅に増員し、約1万3000人がボランティアとして参加しています。ランナーにも人気が高い大会ですが、有り難いことにボランティア参加の応募も大変多い。2015大会からはインターネットによるエントリーに一本化し、2017大会から抽せんによって選ばせていただいています。2018大会でも非常に多くのかたがエントリーしてくださいました」
スポーツボランティアに興味、ランナーとして落選してしまったから──応募の理由はさまざまだが、「東京マラソンに参加したい」という熱意が大会を支える力になっている。活動内容の幅広さも魅力の1つ。
「例えばコース上では9つのブロックに分けて、給水や給食、コース整理や距離表示などを行います。そのほか、大会前3日間にわたる東京ビッグサイトでのランナー受付や、当日のスタートエリアでのインフォメーション、会場誘導など、多岐にわたります。事前にきちんと説明会に参加いただき、当日は万全の状態です」
人数の配置、場所、役割──毎年の反省を生かしながら、その質は年々向上している。
◆当初は警備へのクレーム多かった
一方、ランナーはもちろんボランティアメンバーも安心して大会に参加するためには警備の充実も欠かせない。東京マラソンでは、警視庁や民間警備会社と密に連携を取り、十全の態勢を敷く。