「カローラ」の存在感がすっかり弱くなってしまった日本市場。しかも、日本市場の「カローラ」のハッチバックモデルは、10年以上も前に「オーリス」という別の名前に変わっています。
3月のジュネーブモーターショーでは、欧州市場向けに新型「オーリス」が発表されました。ニューヨーク国際自動車ショーで発表された新型「カローラハッチバック」と比べると、顔つきが若干違うだけで、どう見ても同じクルマです。
つまり、問題の新型モデルは、日本市場に新型「カローラハッチバック」ではなく、新型「オーリス」で導入するのが順当なところ。ところが、トヨタはわざわざ「カローラ」の名前で販売するというのです。いったい、どのような理由があるのでしょうか。
推測できるのは「若者を狙っている」ということです。新型「カローラハッチバック」は、60歳以上の人に売れるとは、とても思えません。あまりにスポーティすぎるからです。逆に若い世代には人気が出ることでしょう。
ちなみに、昨年に日本で発売されたホンダの新型「シビック」も、相当に若々しいルックスで登場しました。昔を知るオジサン世代の受けはもう一つのようですが、若い世代には受けて販売も好調です。きっと「カローラハッチバック」も同じようになることでしょう。
つまり、トヨタとしては「カローラ」の顧客の若返りを狙っているのでしょう。そして、そこには「カローラ」を存続させるという強い意志を感じることができます。
「昔から売ってきたけれど、最近はダメ」というのは、言ってみれば「賞味期限切れ」ということ。さっさと見切りをつけて、別の名称で勝負するというのもひとつの手です。ところが、トヨタには今も「カローラ」の名称を掲げる販売店が全国各地に存在しています。
昨年、「カローラ誕生50周年」のイベントを取材したときは、そうした「カローラ店」の人たちの「カローラ」への想いの強さに驚きました。彼らにとって「カローラ」は終わったものではなく、「まだまだ売れるもの」なのです。また、実際に世界市場に目をやれば、「カローラ」は現役の大人気モデル。やめるなんて選択肢は、はなからないのでしょう。
そうとなれば、この夏に登場する「カローラハッチバック」は、相当に力の入った販売プロモーションが実施されるはず。ユーザーが若返れば、さらなるホットな「カローラ」が現れるかもしれません。
いずれにせよ、この夏の「カローラハッチバック」の日本投入で、日本の「カローラ」のイメージは大きく変わるのではないでしょうか。
日本ではホンダの「シビック」というライバルもいます。2019年になるとマツダの「アクセラ」の新型も登場します。ここ10年ほど、このクラスのハッチバックの人気は低迷していましたが、「カローラハッチバック」やライバルたちが揃って新しくなったことで状況は変わるかもしれません。
スポーティな「ホットハッチ」と呼ばれるクルマが話題になる可能性も十分にあります。「カローラハッチバック」の登場で、日本市場がどう変化するのか注目したいと思います。