国内

生徒たちの未来を見ていない「新学習指導要領」の罪深さ

新学習指導要領は何がダメなのか

 ゆとり教育は失敗だった──と語る識者が最近は多い。その反省をもとにしたのかどうかは分からないが、学習指導要領の改訂が進められている。経営コンサルタントの大前研一氏が、新学習指導要領について考察した。

 * * *
 2022年度から実施予定の高校の学習指導要領改訂案が2月半ばに発表された。そこには「知識の理解の質をさらに高め、確かな学力を育成」「知・徳・体にわたる『生きる力』を子供たちに育む」「主体的・対話的で深い学びの実現」といった美辞麗句が並んでいる。だが私は、この新指導要領が生徒たちに壊滅的な悪影響を与えるのではないかと危惧している。改訂案は21世紀の世の中に全く対応できていないからだ。

 これからの教育に求められるのは、児童・生徒一人一人の長所や特性を把握し、それに合わせた個別のプログラムで能力を伸ばしていくことだ。子供たちの将来は答えがすべて違うのだから、教え方もカリキュラムや時間配分も個人によってすべて違うべきなのである。生徒本人の希望を聞きつつ学ぶ意欲をかき立て、その子が2040年に活躍している姿を思い描きながら個々の能力を伸ばしていく──。それこそが今後の教育に求められることなのだ。

 たとえば、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスターの樫本大進さんのような世界的に活躍している音楽家、あるいは平昌五輪で金メダルを獲得した羽生結弦さんのような傑出したスポーツ選手を育てるのと同様に、「この子はどうすればもっと能力を伸ばして世界で活躍できるようになるのか」と個別に考えるテーラーメイドの教育をすべきなのだ。

関連記事

トピックス

同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
入場するとすぐに大屋根リングが(時事通信フォト)
興味がない自分が「万博に行ってきた!」という話にどう反応するか
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
初めて沖縄を訪問される愛子さま(2025年3月、神奈川・横浜市。撮影/JMPA)
【愛子さま、6月に初めての沖縄訪問】両陛下と宿泊を伴う公務での地方訪問は初 上皇ご夫妻が大事にされた“沖縄へ寄り添う姿勢”を令和に継承 
女性セブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
“極度の肥満”であるマイケル・タンジ死刑囚のが執行された(米フロリダ州矯正局HPより)
《肥満を理由に死刑執行停止を要求》「骨付き豚肉、ベーコン、アイス…」ついに執行されたマイケル・タンジ死刑囚の“最期の晩餐”と“今際のことば”【米国で進む執行】
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン