「今何してる?」「ご飯食べてるよ」“会話”するようにメッセージのやり取りができるSNSは、今や若者だけでなく主婦やビジネスマンの間でも欠かせないコミュニケーションツールになっている。携帯電話がガラケーからスマホに変わり、通信規格も進化するなか、人々の暮らしは大きく変わった。“いつでもどこでも”がもたらしたコミュニケーションの変化を振り返る。
黒山の人だかりの中、遠隔操作で器用に書道をしたり、センサーをつけた人の動きに合わせてダンスを踊る人型ロボット。寸分の狂いのないその動きに、道行く人々は目を丸くして立ち止まる。
2月26日、スペイン・バルセロナで開かれた世界最大のモバイル見本市。ロボットを披露したのは、日本の携帯大手で唯一参加したNTTドコモだ。ドコモがアピールしたのはロボットではなく、ロボットに接続された次世代通信規格「5G」(Gはジェネレーションの頭文字)である。
5Gとは、簡単に言えば、携帯電話で動画などのデータをやり取りする際の最先端の通信技術のこと。現在使われている「4G」の進化版だ。これまでより高速・大容量の通信が可能になることで、さまざまな分野での開発が加速している。
──振り返れば、携帯の進化は、これまでも私たちの暮らしを大きく変えてきた。
旧日本電信電話公社(現NTT)が、携帯の“原型”である自動車電話サービスを始めたのは、今から約40年前の1979年。電話機と車載無線機がセットになり、無線機は重さが7kgもあった。電話機は運転席の近くに置くことができたが、無線機は自動車のトランクに積んでエンジンから電源を供給して使用した。
NTTドコモ歴史展示スクエアの西木貞之館長が語る。
「自動車電話は、最初の通信規格である『1G』を用いた電話機で、レンタルしかできませんでした。当時自動車電話を利用するには、保証金が20万円、加入料が8万円、基本料金が月々約3万円もかかったため、一般市民にはなじみはなく、主に企業の経営者などが利用していましたね」
1985年には、バッテリー部分を肩から提げて使う「ショルダーホン」が誕生。自動車から離れても電話できるようになった。
保証金は約10万円で、重さも約3kg、バッテリーも1時間しかもたなかったが、バブル全盛期ということもあり、羽振りのいいビジネスマンを中心に少しずつ浸透した。