日曜日の夜8時といえばNHKの大河ドラマ──そんな視聴習慣を持つ人たちがエイプリルフールの4月1日に「え?」と驚くような、初の“異常事態”が発生した。
「今回の件のようなことをして、話を途切れさせると、視聴者がシラケてしまうのではないか」
脚本家・ジェームス三木氏の言う“今回の件”とは4月1日の大河ドラマ『西郷どん』のことだ。
“本来”なら本編13話が放送されるところ、『西郷どんスペシャル』と題された特別編に差し替わることが前週の予告で明らかになり、直後から視聴者の間で“何があったの?”と訝る声が広がっていた。特別編は、西郷隆盛役の鈴木亮平(35)と薩摩藩主・島津斉彬役の渡辺謙(58)の対談や撮影裏に密着するといった内容のもの。
過去、東日本大震災や国政選挙に伴う特番で放送そのものがなかった例こそあれ、本編を休止して特別編を放送したのは大河57作の歴史で初のことだ。
◆斉彬から西郷への「つなぎ」
三木氏は大河史上最高の平均視聴率記録を持つ『独眼竜政宗』(1987年)をはじめ3本の大河で脚本を手がけている。
「NHKのドラマはCMがなくて、ストーリーが途切れないところに良さがある。加えて、長年の歴史がある朝ドラや大河は『この時間はNHK』と視聴者の生活の一部に溶けこんできた。脚本家も“視聴者が途切れずに見続けてくれる”という前提で物語を作り込んでいきます。その流れを途切れさせた上に、撮影裏のちょんまげ姿の西郷や斉彬がスタジオを歩く映像を流したりしたら、3か月かけて作ってきた世界観が台無しでしょう」(同前)