“華々しい外交デビュー”を飾る舞台はやはり父・金正日と同じ中国だった。北朝鮮の最高指導者・金正恩の電撃訪中の狙いは、関係修復と経済制裁の緩和だとされる。制裁強化で中国にある“出稼ぎ美女軍団”が働く北朝鮮レストランも一斉閉店の危機が取り沙汰されていた。
電撃訪中のニュースが世界を駆け巡った3月27日、上海にある北朝鮮レストランの女性店員に聞くと、「知らなかった」と驚きの様子。しかし、すぐに気を取り直し、「とても嬉しいです。中国と朝鮮は兄弟国家ですから」と笑顔を見せた。何人かに声を掛けたが、誰も訪中のことは知らなかった。
彼女らはみな金正恩を「元帥」と呼ぶ。理由を尋ねると、「私たちはそのご高名を直接口にすることはできませんから」と言う。
──元帥のことは尊敬している?
「元帥は朝鮮の太陽です。世界中の国々からも尊敬されていて、あなたたちの日本のリーダーなんかとは比べものになりませんよ!」
──日本については?
「日本は不倶戴天の敵国です。抗日戦争を私たちは決して忘れません。どうして好きになれますか!」
最後は、「夜は19時からショーがあるから、そのときにでも来てください」と切り上げられてしまった。彼女の意見は、国家を代弁したものでもある。『コリア・レポート』編集長の辺真一氏は語る。