ちょうど1年前の春、孫の小学校の入学式に出席した67歳の男性。その晴れ姿をカメラに収めようと張り切っていたが、シャッターを切る機会は一度もなかった。
「会場には“撮影禁止”の張り紙が貼られ、式が始まる前に“動画や写真の撮影はご遠慮ください”のアナウンスも流れた。“他の子が写り込んだ写真をSNSにアップして、プライバシー問題に発展する”という理由だそうです……」
希望者は後日、学校指定のカメラマンから写真を購入するのだという。そうした措置の背景には、撮影によって起きるトラブルが増えていることがある。
「動画も写真もネットにアップしやすくなり、“色んな人に見てもらえる”と張り切っているのか、子供の入退場の姿を追って、席を離れて通路を移動しながら撮影する親御さんが増えた」(愛知・小学校教論)
「娘にお姫様のようなドレスで出席させて、“インスタ映えする!”と喜んでいる保護者もいる」(東京・PTA会長)
入学式は初めて子供の“同級生の親たち”と顔を合わせる場にもなる。
「今は個人情報だからと連絡網がなくなった。共働きで授業参観にも顔を見せない人も増えたので、入学式は親同士が連絡先を交換できる貴重なタイミングなんです。
だから、教室の外で親同士がライン交換して、学校の情報を共有できる“ママ友”を見つける。そのチャンスを逃すと仲間外れになりかねないので、子供そっちのけで声を掛け合っていました」(埼玉・小学生保護者)