3月28日、ANAホールディングス(HD)が双日と組んで「ANAビジネスジェット」(ANAHDが51%、双日が49%出資)を設立すると発表した。ビジネスジェットの機材はホンダエアクラフトカンパニー製を使用予定で、ANA便で米国主要都市へ飛んだあと、ホンダ製のビジネスジェットでほかの都市へ乗り継ぐ需要を想定している。
ちょうど1年前の4月、日本航空(以下JAL)もフランスの大手ビジネスジェットオペレーター、ダッソー・ファルコン・サービスと提携している。まずJAL便でパリへ飛び、その後、パリ郊外からほかの欧州域内や中東、アフリカへビジネスジェットを飛ばすチャーターサービスを始めると発表したのがそれだ。
ビジネスジェットの利活用というと、日本ではまだまだ贅沢視されてしまい、やっかみも多いため、日本から海外へのダイレクトなビジネスジェットのチャーターはしにくい。そこで日本人の目には触れにくい、海外での乗り継ぎ需要に期待がかかる。利活用でこれだから、ビジネスジェット、というよりプライベートジェットを所有するとなればなおさらである。
プライベートジェットの販売といえば「ガルフストリーム」が有名だが、グッドウイルグループ代表だった折口雅博氏、あるいはライブドア社長だった堀江貴文氏がかつてプライベートジェットを購入した際も妬みに近い声も挙がり、両氏が失脚すると「それみたことか」といった指摘も相次いだ。
それくらいだから、大企業のトップでもサラリーマン経営者ではプライベートジェットを持つことなど到底無理で、可能性があるとすれば、やはりオーナー経営者に限られてくるだろう。
国土交通省の調べでは、ビジネスジェットの日本での国際線発着回数は、2010年に2918回だったものが2017年は5190回と着実に伸びてはいるが、国土が広大という点を割り引いても、米国のそれは10万回をゆうに超えていて圧倒的な差がある。
また2016年時点で、ビジネスジェットの保有機数は米国が1万9153機なのに対して日本はわずか57機。米国は別格としても、日本同様に国土が狭いドイツ、フランス、英国の欧州勢はもちろん、インドの243機、中国の157機に比べてもまだまだ少ない。逆に海外では、ビジネスジェットがそれだけ日常風景になっているのだ。