デイサービス内の誕生日会で、誕生日を迎える人の紙芝居を作り続け、現在82作。お互いの人生紙芝居を見て利用者同士が「あんた、偉かったねぇ」などと褒め合うという。こうした共感が精神的によい影響があるようだが、貴重な人生の歴史をもっと多くの人と共有しようと、地元小学校でも紙芝居を披露している。
「“出前・平和授業”という社会貢献の一環で、『みんなの家』を利用する高齢者が地元小学校を訪ね、戦争体験などを話す活動をしています。そのときに人生紙芝居を披露します。その主人公である高齢者が同行するので、子供たちにとってもよりリアルなお話。戦争、戦争中の生活、地元を支えてきた産業のことも、教科書ではない、本物の語り部から聞けるのです」
最近は、静かな漁師町も核家族化が進み、子供たちにとっても高齢者にとっても貴重な出会いの機会だという。
「子供たちも食い入るように紙芝居に集中し、高齢者は自分の体験談が未来を担う子供たちの役に立っていることがうれしいようです。今は高齢になり介護を必要とされていますが、間違いなく戦後の日本を支え、豊かな社会を築いてくれたかたがたなのだと、人生紙芝居を作るたびに感じます」
※女性セブン2018年4月12日号