森友問題で窮地に陥った安倍晋三首相に対し、麻生太郎・副総理兼財務大臣や菅義偉・官房長官、二階俊博・自民党幹事長ら政権を支える自民党の実力者たちは“安倍以外”の後継者を模索している。
二階氏に近いベテラン議員は、「内閣支持率がここまで下がると、来年の統一地方選と参院選に大きな影響が出るのは間違いない」として、“最悪の場合は内閣総辞職”の可能性にも言及した。
安倍首相が麻生、菅、二階各氏ら実力者のそうした「面従腹背」に気づいていないはずがない。だから首相周辺から出始めた「電撃解散論」が現実味を帯びるのだ。大叔父の佐藤栄作・元首相が1966年、政界汚職の際に行った「黒い霧解散」を再現する可能性である。この時の総選挙は自民党が勝利した。
首相にすれば、解散論は政権幕引きに動く実力者たちに対して「死なばもろとも」と覚悟を示す恫喝であり、勝利すれば彼らの権力を削げるという賭けでもある。
そうなると、“ポスト安倍政局”を目論む側は、解散を阻止して安倍首相を倒すしか道はなくなる。
その際に安倍首相を退陣に追い込む切り札が存在する。安倍昭恵夫人の国会招致だ。佐川喚問後、野党側が「疑惑が晴れない」と昭恵夫人の証人喚問を要求しているのに対して、自民党側は、「その必要はない」(森山裕・国対委員長)と突っぱねている。