人手不足がもっとも深刻な外食産業。大手外食チェーンは人材確保にあの手この手で知恵を絞っているが、人手が少なくても効率的なオペレーションが見込めるセルフ型店舗も増えてきた。フードアナリストの重盛高雄氏が、最近セルフ店舗の実験を進める牛丼チェーン「松屋」と、昨年から一部セルフ式の導入を始めた定食屋チェーン「大戸屋」の2店を訪れ、その効果について検証した。
* * *
今回「松屋」のセルフ店舗として訪問したのは東京・紀尾井町店だ。地下鉄「麹町駅」至近、ビルの1階に位置するいわゆる路面店だ。周囲には企業のビル群が立ち並び、平日のランチ時間には“難民”も発生しそうな立地だ。
松屋のセルフ店舗の仕組みは次の通り。店舗に入ると、まず自動販売機にて食券を購入して着席する。ここまでは従来型店舗と同様の流れ。ここからがセルフ店舗の特徴だ。
一般店舗であればカウンター席に座るとスタッフが水を運び、食券を受け取りに来る。その後キッチンで注文品が作られ、客の座席に運ばれるが、セルフ店舗では、お水やお茶もセルフサービスとなっている。さらにこの店舗の給茶機には食後に薬を服用する人のために、ぬるめのお湯も用意されている。
席で待つこと数分。お渡し口上部にあるディスプレイ(表示板)に自分の番号が表示される。ディスプレイに作り中→受け取りごとに番号が表示され、呼び出しが行われる。そして、窓口にて食券を従業員に渡し、注文した商品が提供されるという流れだ。
食後は下膳コーナーにトレイを持ち運ぶ。お茶などの紙コップは高速道路にあるSAのように専用ボックスに廃棄することで完了する仕組み。廃棄するゴミの軽量化という観点からみると、エコに配慮した取り組みといえる。