病気の早期発見を可能にする最新医療検査がさまざま登場しているが、自分に必要な検査が何かを見定めるには、「自分の体から発せられるサインに耳をかたむけること」が必要である。
例えば、認知症は一度発症してしまうと治療を開始しても完治することはない。しかし最新の研究で、認知症の前段階である「MCI(軽度認知障害)」なら治療可能だとわかってきている。
ポイントはMCIと「ただの物忘れ」の見極めだ。神奈川県歯科大学認知症・高齢者内科教授の眞鍋雄太医師が指摘する。
「『よく顔を見る知人の名前が出てこないことが増えた』『いままでなかったうっかりミスが多くなった』『長年続けてきた仕事や趣味へのやる気が低下した』など“これまでと違う”ケースが増えた場合はMCIが疑われます。ただしMCIを見抜くのは難しいので、自覚症状が出たら医療機関に相談してください」
2015年に実用化された「MCIスクリーニング検査」では採血するだけでMCIを患っているかどうか判定できる。検査費用は2万1600円(税込み/メドック健康クリニックの場合)で、検査にかかる所要時間はわずか1分だ。
「MCIを放置すると5年間で4割以上が認知症を発症します。わずかでも予兆があるなら、MCIスクリーニングを受けておいて損はありません」(同前)