安倍晋三首相は4月17日から訪米し、フロリダにあるトランプ米大統領の別荘「マールアラーゴ」に2日間滞在して首脳会談を行なう。3回目となるゴルフ会談も検討されている。だが、「シンゾーとドナルド」の関係は1年前とは大きく変わった。
米国が日本や中国からの鉄鋼・アルミの輸入に制裁関税を発動した3月22日、トランプ氏はホワイトハウスの会議で、安倍首相を名指しでこう批判した。
「日本の安倍首相をはじめ、『こんなに長い間アメリカ合衆国につけ込めるなんて信じられんな』とほくそ笑んでいる偉大な我が友人たる各国首脳たちに言っておきたい。そんな日々はもう終わりだ」
鉄鋼・アルミの制裁関税は安い外国製品が米国にとって「安全保障上の脅威」になっているという理由で決められたが、トランプ政権はEU諸国、韓国、カナダ、メキシコなどへの制裁を猶予し、同盟国では日本だけが中国並みの「安全保障上の脅威」に位置づけられた。
トランプ氏の“偉大な友人”の1人、中国の習近平・国家主席はただちに報復措置を発動し、米中は制裁合戦に突入した。
世界経済の先行き不安から株価が乱高下する中、各国は米国の制裁発動後、最初にトランプ氏と会談する安倍首相の言動を注目している。元外交官の評論家・天木直人氏がいう。
「安倍首相は世界の指導者で唯一、トランプ大統領にものが言える親密な関係を築いてきたと自負している。その安倍さんが訪米するのだから、何はともあれ、まず世界経済の大きなリスクになっている今回の鉄鋼・アルミの輸入制限に毅然と抗議するのが外交の筋であり、日本の国益を守ることにもなる」