北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が訪中した際、中国の習近平国家主席主催の晩さん会で、1本128万元(約2176万円)もの最高級の茅台(マオタイ)酒が振る舞われていたことが明らかになった。ネット上では、「中国民の血税の無駄遣い」や「習主席は贅沢禁止令を出しているのに、何たる贅沢。国民との約束破りだ」などとの激しい批判の声が出ている。米政府系報道機関「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
晩さん会は3月26日、両国の首脳会談の後、北京の人民大会堂で行われた。この模様を報じた北朝鮮の朝鮮中央通信の写真には、金氏と習氏が小さなコップで乾杯している場面が映し出されており、2人の後ろには両手に2本の茅台酒の瓶を持った黒の燕尾服姿の男性の接待要員が控えている。
この茅台酒は1960~80年代産の限定版ブランド「矮嘴(ウェイズェイ)」と見られている。今は生産されておらず、在庫もほとんどないことから、オンライン・ショッピングモールでは1本128万元の値段がついている。小さいコップ一杯分が10mlとしても、それだけで40万円もする代物だ。
北朝鮮のテレビが放送した金氏の訪中に関する長編ドキュメンタリーニュースによると、双方のプレゼント交換の紹介場面で、中国側からの土産として、この最高級茅台酒6本のほか、他の高級な茅台酒多数がテーブル上に置かれている。さらに、国連安保理の対北制裁などで手に入りにくくなった高級ウイスキーや高級ブランドたばこ、時計など高級外国ブランド品も中国側から金氏一行へのプレゼントとしてリストに載っていた。
高級茅台酒「矮嘴」だけでも1億3000万円にのぼるが、それ以外のブランド品を含めると、「全部で1000万元(約17億円)との試算もある」と香港メディアは報じている。
なお、スイス留学体験もあり、飛行機には慣れているはずの金氏ら一行が父親で高所恐怖症といわれる金正日総書記と同じく21輌もの専用列車で北京にやってきたのは、中国からの大量のプレゼントを積んで持って帰るためとの憶測も出ている。飛行機では重量オーバーする可能性があるためというわけだ。