名探偵が謎解きして難事件を解決に導く――ここ最近、名探偵ものが特別ドラマとして再び脚光を浴びている。脚本家三谷幸喜氏もこのほど、アガサ・クリスティの名作を『黒井戸殺し』として蘇らせる。コラムニストのペリー荻野さんが見どころについて解説する。
* * *
フジテレビで14日土曜日、三谷幸喜脚本のスペシャルドラマ『黒井戸殺し』が放送される。物語は昭和27年、片田舎・殿里村が舞台。富豪の未亡人(吉田羊)が睡眠薬の過剰摂取で亡くなり、続いて彼女と結婚を望んでいた地元の名士・黒井戸(遠藤憲一)が殺される。黒井戸家の近所で隠棲生活を送っていた名探偵・勝呂武尊(野村萬斎)は、村の唯一の医師・柴平祐(大泉洋)とともに事件を追うが、黒井戸家の親族、使用人など関係者10人全員が怪しい…。
原作はアガサ・クリスティの名作『アクロイド殺し』。タイトルからしてダジャレ? コメディミステリー?と思われそうだが、実際は本格的な謎解きで日本で映像化されるのは、今回が初だ。クリスティ×三谷のドラマといえば、2015年の『オリエント急行殺人事件』をご記憶の方も多いと思う。ここで名探偵エルキュール・ポアロ役として事件の真相に迫った勝呂が再登板するのである。
この作品へのフジテレビの力の入れようには並々ならぬものを感じる。前作『オリエント急行』の際には開局55周年記念作ということで、佐藤浩市、西田敏行、松嶋菜々子、玉木宏、富司純子、草笛光子、二宮和也、杏など豪華キャストが勢ぞろい。デラックスな列車の客室に全員集合して一斉にカメラ目線になったときには、「まぶしい!」と思ったくらいであった。
3年ぶりの新作となった今回は、大泉、吉田、遠藤とともに執事の藤井隆、黒井戸の姪役の松岡茉優、謎の復員兵の和田正人、医師の妹の斉藤由貴ら『真田丸』組が集結。へたれ息子の向井理やメイドの秋元才加、秘書の寺脇康文と油断できない顔ぶればかりで、原作は知ってるけど、もう誰が犯人だかわかりません!!