直ちに耐震化を行なわなくても罰則はないが、都に「倒壊の危険性が高い」と名指しされた以上、施設側は大きなプレッシャーを感じているはずだ。
前出の建物と同様に(I)の評価をつけられた、中目黒の東京共済病院・施設課担当者が話す。
「(I)の評価をつけられた〈2号館・西館〉は、2015年1月に『SRF工法』による部分改修を済ませています。当院としては、これで耐震工事は終わったと考えていましたが、今回の東京都の評価を受け、追加措置をとるかどうか検討中です」
一級建築士で建築エコノミストの森山高至氏が解説する。
「SRF工法は、柱に包帯を巻くようにポリエステル繊維のベルトやシートを巻き、柱の破壊を防ぐというものです。たとえ柱の内部のコンクリートが破損したとしても、柱の形が維持され、その間に中の人たちを避難させる。東日本大震災や熊本地震で、その効果は実証済みです。ただし、今回、東京都が倒壊リスクを判定するにあたり重視したのは『Is値』でした。これは地震の揺れに耐える総合的な力を数値化したものです」
※週刊ポスト2018年4月20日号