今後30年以内に70%の確率で起こると予測される「首都直下型地震」。その“中心地”である東京都が3月29日に突如公表したレポートが、大きな波紋を呼んでいる。
震度6強の地震で“倒壊の危険性あり”と指摘された建築物(公表対象の852棟のうち、251棟)には、渋谷のシンボルともいえる「SHIBUYA109(道玄坂共同ビル)」や、サラリーマンの聖地と呼ばれる「ニュー新橋ビル」など古くから親しまれ、多くの人が訪れる商業ビルも含まれていた。
中には、間もなく改修工事に入るという施設もあるが、科学技術館(千代田区)の担当者はこう明かす。
「私どもの建物では、K棟が倒壊の危険性が高い(I)という評価でした。我々もそのことは認識しており、今年の10月に着工し、来年2月には完了予定です。ただし、これは建物全体の耐震性が弱いということではありませんので、利用者の方々にはご理解いただきたい」(総務室)
人の出入りが多いのは、大規模商業施設やレジャー施設だけではない。リストには病院の名前もある。日本大学医学部附属板橋病院は地上8階・地下2階の規模を誇り、一日の外来患者は平均2000人超、病床数は都内でも屈指の1000床に及ぶ。
「1970年に竣工した建物なので、これまでも小規模な補修、補強工事を繰り返してきましたが、都の発表前からすでに建て替えが決定しています。今は、委員会が計画の詳細を詰めている段階です。ただ、着工時期はまだ決まっていません。規模も大きく何百億円もの資金が必要なプロジェクトなので、時間がかかっております」(日本大学広報課)
耐震改修工事中は建物の一部、またはすべてを閉鎖する必要があり、施設側だけでなく利用者も不便を強いられる。ましてや、建て替えとなれば巨額な費用を要する。