臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、サッカー日本代表の西野新監督の会見に注目。
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サッカー日本代表“サムライブルー”の新監督に、技術委員長を務めていた西野朗氏が就任した。ワールドカップ・ロシア大会まで2か月余りというタイミングで驚きの交代劇だ。
電撃解任されたヴァヒド・ハリルホジッチ前監督が、フランス・リールにある自宅玄関で、インタビューに「ウソ」「でっち上げた」と怒りをあらわにしていたという写真がネットの記事に掲載されていたが、鮮やかなブルーのセーターに紺のデニム姿というサムライブルーに身を包んでいたのが、皮肉にも思える。
そんなドタバタの中、新監督に就任した西野氏は、ブレザーもネクタイもサムライブルーよりも黒に近い濃紺でまとめていた。濃い青はトップが好む色と言われ、意思決定者をイメージさせる色である。自らがチームを率いる立場に立った西野氏にはふさわしい色だ。
前監督が突然解任された理由を、「選手とのコミュニケーション」「信頼関係の変化」と、日本サッカー協会会長・田嶋氏は語っていた。前監督と選手たちとの様子を間近で見てきた西野氏は、それをどう感じていたのだろうか。
会見では、発言しながら何度も唇を舐めていた。「非常に責任を感じている」というだけあり、よほど緊張していたのだろう。「日本代表監督を受けることにしました」というと、しっかりと口をつぐみ決意の固さを印象づけた。
「前監督が求めたサッカーを引き継ぐのか?」という質問には、それが「世界基準であり、日本にとって必要なことだった」と、淡々と話しながらも、身体を左右に揺らしたり、座り直したりした。この仕草は、無意識のうちに、前監督のサッカーをそのまま引き継ぐことにNOと答えているものだ。