「ALS発症の主な要因は3つあります。細胞が興奮しすぎて細胞死を起こすグルタミン酸毒性、体内の活性酸素による毒性、そして活性酸素による運動神経末端のシナプス伝達効率を低下させるホモシステイン毒性です。高用量メコバラミン製剤はグルタミン酸毒性を抑制する作用に加え、活性酸素やホモシステイン毒性を抑制する作用もあると考えられています」(梶教授)
今回の医師主導の臨床研究では発症後1年以内のALS患者128人を2群に分け、プラセボと実薬を投与する。エントリー後3か月を観察期間とし、頚椎症や多巣性運動ニューロパチーなどALSと似ている別の病気との鑑別、症状の進行速度が中間型であるかどうかなどを検査。その後4か月間薬を投与して効果を診る。薬は週2回筋肉注射し、4か月経過後は治験参加者全員に、高用量メコバラミン製剤を2020年まで投与する。
発症後1年以内のALS患者の臨床試験エントリーは現在も行なわれている。
●取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2018年4月20日号