4月初旬、全国各地で入学式のシーズンがやって来た。子供にとっては晴れ舞台のこの季節、毎年保護者の頭を悩ませているのがPTA問題だ。昔から母親にとって負担の大きいPTAだが、とりわけ最近は「入会をめぐるトラブル」が続出している。
発端は昨年3月、ツイッターに投稿された「♯PTAやめたの私だ」というハッシュタグだった。女性同士の人間関係トラブルや無駄に長い会議など、PTA活動に悩む母親たちが退会するまでのプロセスを思い思いに綴り、各メディアに取り上げられる騒動となった。
一方で、過去にはPTAをめぐる事件も多数起きている。1996年、熊本県のPTA連合会会長が運営資金5000万円を私的に流用。2005年には三重県の小学校PTA会長が自宅に泊まりにきた長女の友人2人(ともに小5)の体を触り、強制わいせつ容疑で逮捕された。
昨年3月には、列島を震撼させる事件も発生している。同月26日、千葉県松戸市の小学校に通う女児(9才)が全裸遺体で発見。殺人容疑で逮捕されたのは、女児の通う小学校で保護者会会長を務めていた渋谷恭正被告(46才)だった。
渋谷被告は会長として学校行事を仕切る立場にあり、毎朝見守り活動のため通学路で児童に声をかけていた。
こうした大きな事件だけでなく、PTAに親が参加しないことで子供に“実害”が及ぶケースも散見される。PTA問題に詳しいジャーナリストの大塚玲子さんはこう語る。
「典型的なのは、『PTAに入ってない家庭には会員と同じサービスは提供しない』というもの。非会員の子供に対して、入学式のコサージュを渡さない、集団登校の班から外す、PTAの広報誌を配らないなどの嫌がらせ行為をちらつかせるのです。今年の春はPTAの入会届を配ったうえで、“入らないとお子さんがこうなりますよ”と脅しをするケースも目立ちました」
その最たるものが、熊本市のある小学校のケースだ。
今年1月、熊本市内の公立小学校のPTAが、非加入の世帯に対して「ペナルティー文書」を配布。そこにはPTA非加入時の罰則として以下の記載があった。
●PTA共済に入れず、登下校時などのけがは自身の保険ですべて対応する。
●不審者情報などを知らせる安心メールの配信停止。
●非加入を他の保護者に知らせる場合がある。
●PTA行事に関連するプリントは配布しない。
●卒業式で配るコサージュや記念品の購入先は知らせるが準備、費用は自身で負担する。
まさに脅し文句のオンパレードである。PTAに詳しい文化学園大学現代文化学部の加藤薫教授が語る。