役所側が「記録は廃棄した」と説明していた“ないはずの記録”が次々に湧いて出てくる。森友学園問題での財務省の決裁文書改竄や口裏合わせの指示メールから、防衛省の日報隠蔽へと広がったかと思うと、ついに加計学園の獣医学部認可問題で官邸中枢に火が回った。
〈本件は、首相案件〉という、柳瀬唯夫・元首相秘書官(現在は経済産業審議官)の発言を記録した愛媛県庁職員のメモの存在が明らかになったからだ。
朝日新聞がスクープした“加計メモ”には生々しい記述がある。2015年4月2日、獣医学部新設の陳情のために首相官邸を訪ねた愛媛県職員に同行した加計学園事務局長は、当時の柳瀬秘書官にこんな話を打ち明けてアドバイスを求めていた。
〈加計学園から、「先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、『下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっている』との発言があった」とのことであり、その対応策について意見を求めた〉(カギ括弧は編集部による補足)
安倍晋三首相は「加計氏、下村氏との3人で食事をしたことがない」とメモの内容を否定してみせたが、文面からは、首相が「腹心の友」である加計孝太郎氏(加計学園理事長)と会食した際、“(獣医学部設立の認可権を持つ)下村大臣がへそを曲げているようだから、手を打った方がいいぞ”と耳打ちした光景が目に浮かぶ。
その経緯を加計理事長から聞かされていたからこそ、事務局長はわざわざ県庁職員の陳情に同行し、柳瀬秘書官に対応策の知恵を借りたのだろう。メモには柳瀬氏の答えも記述されている。