作家の佐藤優氏と思想史研究家の片山杜秀氏が「平成史」を語り合うシリーズ。今回は、2017年の選挙を振り返り、選挙制度について語り合った。
佐藤:政権が揺れるなか2017年7月の都議選では小池百合子氏率いる都民ファーストが圧勝し、このまま政界再編も起こりうるという報道もありましたが、10月の衆議院選では希望の党が惨敗しました。小池都知事の「排除」発言が敗北の原因と言われていますが、それは違います。政党は政策の一致によって作られる結社なので、それに反対する人を排除するのは当然だからです。
都議選で小池は公明党と手を組んで勝った。衆議院選で公明党が離れたから敗北した。そこに尽きます。
片山:都議選でも衆議院選でも、彼女は有権者が抵抗勢力を求めるタイミングで登場した。それなら抵抗勢力という虚像に徹しきるべきだった。しかし結局は自分らしく振る舞った。もしも虚像を演じ続けられればまた違った結果になっていたかもしれません。
佐藤:私が2017年の衆議院選で注目したのは475人から465人に議員の数を減らしたこと。そしてそれに批判はなかったことです。それどころか国民は諸手を挙げて賛成しました。
片山:バカな議員にムダな税金を使いたくないと考えたのでしょうね。でも本当に議員定数を削減する必要があったのか考える必要がある。民主主義の理想は国民全員が政治に参加すること。とすれば、議員の数は多ければ多い方がいい。とくに北海道や四国などのように地域社会が崩壊しつつある地域にこそ、たくさんの代表が必要なはずです。しかし、話題に上るのは議員定数の削減ばかり。
佐藤:議員数を減らしていけばどうなるか……。私は、日本が議会制民主主義から大統領が権力を持つ独裁的民主主義に向かっているように思えてなりません。
片山:それは全世界的な傾向ですね。世界中で独裁的な国家が増え、極右勢力が台頭している。