“ウルトラマン”が中国企業を相手に戦っている。問題となっているのは、中国・広東省のCG会社が制作、昨年10月に中国で公開された映画「鋼鐡飛龍之再見奥特曼(ドラゴンフォース 帰ってきたウルトラマン)」。映画は全編CG映像で作られた。
制作発表には、鋭く顎が尖ったマスクをかぶり、ボディペインティングを施した“中華ウルトラマン”が登場。もちろん日本の“本家”とは別物で、ウルトラマンシリーズを制作した円谷プロ側は警告を繰り返したが、中国企業はこれを無視してきた。
と、ここまではよくある“中国パクリ騒動”に見えるのだが、今回は少し様相が異なる。知的財産権に詳しい西澤滋史弁護士が語る。
「実は、海外におけるウルトラマンの著作権問題はかなり複雑で、国によって見解が割れているのです」
問題を複雑にしているのは、「1970年代に、初期のウルトラ作品(ウルトラQからウルトラマンタロウまで)の独占的利用権を譲渡された」と主張するタイ人実業家の存在だ。この実業家は、円谷プロと交わしたという“契約書”を盾に、タイや中国でウルトラマンビジネスを展開。両者は1990年代から複数の国で権利を巡る裁判を繰り返してきた。
中国企業が強気なのは、日本と中国の最高裁で、過去に「譲渡契約は有効である」との判決が下されているためだ。