東京都は3月29日、「耐震診断結果」と題するリストを発表した。耐震基準が現在のものに改められたのは1981年5月だが、それ以前に建てられた大規模建築物の耐震診断結果を初めて公表したものだ。
調査は2013年施行の「改正耐震改修促進法」に基づき実施。倒壊すると道幅の半分以上をふさぐ恐れがある建物と、不特定多数が利用する病院や学校など852棟に耐震診断を義務づけている。診断結果によると、安全性評価が最も低い「I」(震度6強以上で倒壊の危険性が高い)に認定された建物は156棟、「II」(倒壊の可能性がある)とされたのは95棟。
東京都の発表に先立って、2017年3月には大阪市も市内建造物の耐震診断結果を発表。「大阪府庁舎本館」や「きんえいアポロビル」などの施設が「倒壊の危険性が高い」と指摘された。
こんかいの発表によって明らかになった「震度6強以上で倒壊のおそれがあるビル」をピックアップ。どんな対策が進められているかについても調査した。
■震度6強以上で倒壊のおそれがある東京のビル20
・アトレ目黒1A館
安全評価:II
対策:店舗が営業中のため、2015年以降、壁や柱などできる部分から順次耐震補強工事を進めている。
・アブアブ赤礼堂 上野店
安全評価:I
対策:時期は未定だが、耐震補強か建て替えを行うかを検討中。
・科学技術館 K棟
安全評価:I
対策:今年2月に耐震の設計を行い、10月には着手する予定。
・紀伊国屋ビルディング
安全評価:I
対策:建物内部の補強工事を計画中。
・コナミ品川ビル
安全評価:II
対策:定期的なメンテナンスを行い、日頃から社員同士で意見交換をしているが、改めて適切に対処する。
・新宿地下鉄ビルディング
安全評価:II
対策:改善に向けて引き続き対策を検討する。
・スバルビル
安全評価:II
対策:現在、入居テナントとの退去交渉を行っている。交渉中のテナントは残り1軒で、全てのテナントの退去完了後、速やかに解体工事に着手する。
・中野ブロードウェイ
安全評価:II
対策:商店街だけでなくマンションもあり、住人がいるため対策を話し合う必要はあるが、把握していない。
・日本消防会館
安全評価:II
対策:今回の発表以前から建替えを検討中だが、費用が莫大なため容易ではない。2023年度の完成を目標に、建替えを検討。
・玉川病院 本館(1階)
安全評価:II
対策:耐震改修工事を行う予定。既に基本設計は終わり、今年12月に着工、来年5月に完了する予定。
・道玄坂共同ビル(SHIBUYA 109)
安全評価:I
対策:耐震改修のための工事を計画し、官庁に問い合わせ中。2019年に工事に着手できる予定。
・渋谷プライム
安全評価:II
対策:建替えを検討中。