4月11日、厚生労働省は全国の認可保育施設に入れない待機児童を5万5433人と発表した。3年連続での増加となった。こんな状況にセブン−イレブンは立ち上がった。店舗併設型の保育園『セブンなないろ保育園』を開園したのだ。現在は『大田区池上8丁目店』と『広島中広3丁目店』の2店舗のみ。対象年齢は0~2才で、月~土曜日の7~20時まで開園している。セブン-イレブンで働く従業員やパートタイマーの子供に加え、地域に住む子供たちも受け入れてくれるという。
キャリアカウンセラー・島谷美奈子氏は、セブン−イレブンが保育園を設置した背景について、こう語る。
「かつて若者が中心だったコンビニの客層も、高齢者など、年齢層が広がっています。主婦は子育てや介護などの経験から、さまざまな年代のお客様へきめ細かい対応ができる。また近年はコンビニで働く外国人が急増。コミュニケーション能力の高い主婦は、彼らが日本文化に馴染む指導役にもなれる。
主婦が働くことで、お店のサービスが向上するわけです。しかし、主婦は“子供を預けられないから”と働くことを諦めてしまうケースも多い。そうした人材を逃がさないために、セブン−イレブンは店舗併設の保育園を始めたのでしょう」
こうした取り組みはセブン−イレブンだけではない。ローソンも2014年7月、セブン−イレブンに先駆けて、東京都品川区にある本社ビル内に『ハッピーローソン保育園』を開園している。コンビニ評論家の渡辺広明氏が解説する。
「『ハッピーローソン保育園』は子育てをしながら勤務するローソングループ社員のための保育施設です。保育園に空きがなく、なかなか復職できずにいた社員や、育児休職後に早期復職して働き続けたい社員が利用しています。この保育園のお陰もあってか、ローソン社員の育児休職からの復職率は100%に近い」
今年3月、北海道・札幌でローソン関係者が立ち上げた『みるく保育園』が話題だ。
「8店舗のローソンを運営しているオーナーさんが開設しました。コンビニに併設したものではなく、閉店したローソンの物件を利用して、営業しています。定員は19人。そのうち12人が運営するローソン店舗で働くパートさんのお子さんのようです」(前出・渡辺氏)
保育料は1か月3万5900円。プラス1000円で、情操教育に有効なリズム体操のリトミックを受けることもできるという。
大手3社のもう1つ、ファミリーマートは「保育所の設立に関しては現在検討中」(ユニー・ファミリーマートホールディングス広報・寺崎将人氏)という。
だが、ファミマは澤田貴司社長の大号令のもと、主婦層の採用を強化中だ。