自由奔放で自発的に行動できる人を“ネコ型”と呼び、これからの時代に必要な人材だと説くのは、『「ネコ型」人間の時代──直感こそAIに勝る』(平凡社新書)を上梓した同志社大学政策学部教授の太田肇氏。しかし、いくら職場にネコ型の逸材が入社してきても、すぐに辞められてしまっては意味がない。では、どんな組織がネコ型人間を活かすのか。
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本格的なAI時代に突入するこれからは、従順で礼儀正しいが受け身の「イヌ型」人間ではなく、マイペースだが直感や感性に優れ、自分で考えて行動する「ネコ型」人間こそ活躍できると拙著にも書いた。
ところが現場で話を聞くと、せっかく「ネコ型」の新人が入社してきても、すぐ辞めてしまう。残った彼らも1年もたつと周りに適応し、すっかり「イヌ型」に変わってしまう。いずれにしても「ネコ型」の本領が発揮されないわけだ。その原因がどこにあるかを考えてみよう。
以前は新人が職場に入ってくると、上司や先輩が厳しく指導したり叱ったりしながら、社会人としての心構え、振る舞い方をたたき込んだものだ。しかし、いまではそんなことをしたらネット上に「ブラック企業」と書き込まれるか、へたをするとパワハラで訴えられかねない。
そのためどこの会社でも新人に対し、まるで腫れ物に触るように気を遣っている。優しくていねいに指導し、一人ひとりにメンター(指導役の先輩)をつけるなど至れり尽くせりだ。
にもかかわらず、新人の早期離職が後を絶たない。そのため上司も先輩たちも、どう接していいのかわからず悩んでいるのが現状である。
気づいてほしいのは、相手に対しよかれと思っている接し方、扱い方が実は逆効果になっている場合が少なくないということだ。