この国の政治はもはや“安倍抜き”で進み出した。安倍晋三首相が訪米中に財務省のセクハラ次官が辞任し、テレビ朝日は女性記者がセクハラ被害を受けたと会見。国会では首相側近である柳瀬唯夫・経済産業審議官(元首相秘書官)の証人喚問や参考人招致も避けられそうにない。帰国したとき、政権は焼け野原になっていたのだ。
福田淳一・前財務事務次官に引導を渡したのは二階俊博・自民党幹事長と井上義久・公明党幹事長の「ケジメをつけろ」の辞任勧告であり、麻生太郎・財務相もそれを受け入れた。自民党内ではこんな数字が囁かれている。
「これで20%から10%に下がった。あとは麻生さんが辞任すればゼロになる」(中堅議員)
内閣支持率のことではなく、「安倍3選確率」だという。安倍首相が秋の総裁選で3選する可能性は限りなくゼロに近づいているとみられているのだ。
「まるで総理の留守を狙ったように身内の与党から不利な状況が作られ、訪米の成果など吹き飛んだ。一体、菅(義偉)官房長官は何をやっていたのか」(安倍側近)
これまで政権の危機を救ってきた菅氏も動かない。自民党各派の関心はすでに「次は誰か」に移り、実力者のちょっとした動きが、大きな波紋を広げていく。
「(安倍首相の)3選は難しい。信頼がなくなってきている」
いち早くそう声を上げた小泉純一郎・元首相が安倍首相の留守中に二階氏、小池百合子・東京都知事らと会合を持つと、「安倍降ろしが話し合われた」という情報が流れた。