財務省の福田淳一事務次官が、女性記者をバーに呼び出し、「おっぱい触っていい?」「手しばっていい?」などのセクハラ発言を繰り返した問題。『週刊新潮』(4月19日号)が報じ、音声テープを公開すると、テレビ朝日はセクハラを受けたのは自社の女性社員Aさんであると公表した。
Aさんは2016年に福田次官を取材して以来、セクハラ発言に悩まされていたという。
「今から1年ほど前、頻繁に福田さんから呼び出しを受けたA記者が困り果てて女性上司であるBさんに相談し、夜の会合や呼び出しに顔を出すのはやめたそうです」(テレ朝中堅社員)
ところが4月4日夜、福田次官からの呼び出しにAさんは応じざるを得なかった。
「この日はNHKが森友学園問題に絡んで財務省の口裏合わせ疑惑をスクープした日で、デスクから記者全体に“裏付け取材をするように”と指示が出ていました。そこで財務省の事務方トップである福田さんから誘いがあったので、“何か情報を取らなくては”と応じなければなりませんでした。その場で自分の身を守るため、A記者は福田さんとの会話を録音したそうです」(前出・中堅社員)
そこで福田次官の口から出たのは破廉恥発言のオンパレード。恐怖や嫌悪感とともに怒りを覚えたAさんは「福田告発」を決意する。
テレ朝幹部によると、Aさんは真向かいに座った上司のBさんにこう訴えたという。
「福田次官のセクハラ音源をテレビで流したい。ジャーナリストからレイプ被害を受けたと訴えた伊藤詩織さんは証拠がなくて握り潰されたけど、私にはこのテープがある。きちんと世に出して、大変な問題であることを伝えたいし、次に出る被害者を1人でも減らしたい」
しかし、福田次官のセクハラテープをテレビ朝日が報じることはなかった。テレ朝の幹部が語る。
「Bさんはこの件についてかなり落ち込んでいるようです。モリカケ問題が燃え盛るなか、財務次官のスキャンダルはたんなるセクハラ問題ではなく、安倍政権の存続に直結する政治案件です。これを報じようとしたら、政権を批判したくない局上層部からの圧力で放送が握り潰される恐れがあったり、それどころか、Aさんが局内で誹謗中傷を受けたり、人事で飛ばされる恐れも充分ある。そこまで憂慮したBさんは、Aさんとも“今後のセクハラ被害を食い止めるために、こうした案件は世に問われるべきで、握り潰されてはいけない”と話し合った上で、『この件を現時点で放送することは難しい』と判断したようです」