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山田詠美のこだわり 無音の仕事部屋、原稿はサインペンで

執筆時のこだわりを明かした山田詠美さん

 女優・杏と旅人・大倉眞一郎さんがナビゲーターを務め、11年目を迎えた人気ラジオ番組『BOOK BAR』(J-WAVE。土曜22時~)。杏と大倉眞一郎さんがそれぞれ1冊好きな本を持ち寄って四方山話を繰り広げる同番組に4月12日、スペシャルゲストとして作家・山田詠美さんが招かれた。

 滅多にゲストを呼ばないという番組に詠美さんが招かれたのは、読書の嗜好が全く違う2人が、過去にどちらも詠美さんの小説(杏は直木賞受賞作『ソウルミュージックラバーズオンリー』、大倉さんは『賢者の愛』)を挙げた人だから。2人は詠美さんに興味津々。話は大いに盛り上がった。日経新聞では小説「つみびと」を、そして本誌・女性セブンではエッセイ「日々甘露苦露」を連載し、同連載を『吉祥寺デイズ』として単行本化した詠美さんが、知られざる“創作デイズin吉祥寺”を明かした。

◆小説を書くのは楽しくない

 頭の中の抽出を整理できていないから自分は小説が書けないと嘆く大倉さんに、詠美さんが言う。

山田詠美(以下、詠美):書かなくたっていいじゃないですか。そんな面倒くさいから。書かない人種の方がエレガントで素敵だと思いますけど。

大倉:いや~、それ言われちゃうともう、なんか、何も言えねぇって感じになりますけど(笑い)。小説って書いていて楽しいですか?

詠美:楽しくないです! もう全然。

大倉:楽しくないんですか!?

詠美:うん(キッパリと)。楽しくないですけど、それを書かないと自分の国に入れないって感じがして。なんかパスポートの更新のように書いているような感じがしますね。自分国の滞在許可を得るために、次の新しい更新をしなくちゃいけないんで、小説を書くという。

大倉:でも、苦しくはないんですよね?

詠美:う~~ん、苦しいんですけど、そういう時は、自分をマゾヒストに改造して、これが快楽なんだって脳内に思いこませて書くという感じです。実際には、全然楽しくないんですよね。

◆執筆は1日3時間くらい

大倉:執筆態勢について、ちょっと伺いたいんですが。

詠美:私、近所の西荻窪という所に仕事場を借りているんですね。そこに午前中に行って、それでダラダラしながらようやく机に座って、それで大体、午後の3時くらいには終えて家に帰るという感じです。

大倉:大体何時間ですか?

詠美:3時間くらいですかね、書いているのは。

杏:どんな部屋なんですか?

詠美:電話もないし食べものもない。なんにもないって感じですね。

杏:テレビとかはあるんですか?

詠美:ないです。

杏:もうじゃあ、例えば机と…。

詠美:うん。でも私、気が散るので、気が散った時のために雑誌とかをいっぱい用意しています。

大倉:書き始めるまでに多少時間を要するタイプですか?

詠美:私、ものすごく時間がいるタイプです。

大倉:それは雑誌か何かで時間を?

詠美:そうですね。作家によっていろいろあるみたいですが。

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