東京の中心での華やかな生活は多くの人々にとって憧憬の対象かもしれないが、自分にとって居心地がいいとは限らない。大人が大人として生きるために欠かせない力──大人力を追求するコラムニスト・石原壮一郎氏が提唱する。
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巷では「港区女子」が注目を集めています。夜な夜な六本木や麻布十番や西麻布界隈を回遊し、キラキラした女の武器をギラギラと使ってお金持ちにたかり、SNSでは盛りまくったリア充な自分像をアピールする──。髪が長くて化粧が濃くて、プライドが高いわりにオツムと社会性とお人柄は残念というイメージもあります。ちなみに、港区在住である必要はありません。
おっさんとしては、そんな華やかそうな港区女子に対して、どういうスタンスを取ればいいのか。お金とヒマが有り余っていて、女性に対して知性とか心の触れ合いとかはまったく求めていなくて、女性に利用されたり騙されたりするのも男の甲斐性……と思っているカモ男子は、ある意味相思相愛です。うわべだけ楽しそうから騒ぎをご堪能ください。
そもそもおっさんは、港区女子の視界に入っていません。何かの拍子に入ったとしても、港区女子である自分が口を利いてあげる対象という認識はゼロです。そっちがその気なら、こっちだって遠慮なく笑いものにさせてもらいましょう。実物の港区女子をひとりも知らなくても、イメージと偏見だけで十分です。
妻がこっちの給料の安さを嘆いたり、高い買い物をしようとしていたりしたら、「お前は港区女子か!」と一喝しましょう。けっこうな侮辱ですが、いちおう「女子」呼ばわりしたことで、もしかしたらむしろ機嫌がよくなる可能性もあります。
部下の女性が自分の席でお化粧をしていたり、書類に簡単なミスをしたりしたときも、「おいおい、港区女子じゃないんだからさあ」と苦言を呈するのがオススメ。じつは心の底からバカにしているわけですが、本人は響きのよさに惑わされて、ホメられたかと勘違いするかもしれません。いわんや、そういうことをしそうなタイプをや。
はっきり申し上げましょう。おっさんが熱い視線を送るべきは、港区女子ではなく「練馬区女子」です。ここでいう「練馬区女子」はあくまで概念で、生息エリアが豊島区でも荒川区でも江戸川区でも、何だったら東京都じゃなくてもかまいません。