肥満や糖尿病、高血圧なども起こりやすくなる。特に忘れてはいけないのは、元気がなくなり、うつ病と間違われやすいことだ。
【1】~【5】の症状はうつ病でも出やすい所見であるから鑑別が難しいが、男性更年期の場合は、よく汗をかく、性的能力が低下、ひげの伸びが遅くなるなどの症状が起こることが多く、うつ病との見極めのポイントとなる。
男性ホルモンは加齢によって分泌が減るが、一度減っても復活するといわれている。その方法は、皮下脂肪を減らして、筋肉を増やすことだ。
ぼくは毎日スクワットとウォーキングをし、週1回ほどジムで30分バーベルを挙げるなどの筋力トレーニングをしている。
内科外来では、筋力の維持のため患者さんにスクワットを教えている。全国各地に講演に行ったときには、会場のみんなに立ち上がってもらい、鎌田式スクワットをしてもらっている。2000人のホールで、全員がスクワットをしている光景は実に壮観だ。
ところが、運動もやりすぎは逆効果だ。泌尿器科の奥井伸雄医師は、「スポーツ大会での心停止は、日常生活での過剰な運動による低テストステロン症が原因ではないか」と報告している。とても興味深い報告だ。
マラソン大会やスポーツ大会で心停止など重篤なトラブルを起こした人のテストステロンを調べると、健常者はもちろん、LOH症候群の患者よりもさらにテストステロンが低いことがわかった。