更年期障害といえば、かつては女性のものと言われてきたが、最近では男性の更年期障害も知られるようになってきた。諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、男性ホルモンの低下を防ぐ運動の効能と、その適度な運動量について考えた。
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ある書店に、居酒屋や焼肉などを取り上げた本のコーナーがある。その棚に『なんでもホルモン』(伊藤裕著、朝日新書)という本が紛れている、と本好きの知人から聞いた。てっきりホルモン焼きの本かと思って手に取ったら、体内物質のホルモンについての本だったという。とんだホルモン違いである。
ぼくたちの体は、いくつものホルモンによって調整されている。幸せホルモンのセロトニン、愛情ホルモンのオキシトシンなど、それはときに感情や行動をも左右する。
テストステロンは、男性ホルモンの代表格として知られている。男性性器の発育と機能の維持をはじめ、男性らしい筋肉や骨格をつくる役割をしている。中高年男性の悩みである脱毛や薄毛の原因にもなっているが、チャレンジ精神や競争心、集中力などリーダーシップに関係する重要なホルモンでもある。
このテストステロンの分泌が低下すると、男性はさまざまな不調を来す。加齢男性性腺機能低下症候群。簡単に言うと、男性の更年期のことだ。LOH症候群ともいう。テストステロンの分泌が低下すると、【1】太る、【2】筋肉量が減る、【3】仕事も趣味も楽しくなくなる、【4】集中力が低下する、【5】不眠がち──といった症状が現われる。