今年のゴールデンウイークは日並びも良く、有給休暇をうまく使えば9連休かそれ以上、という方もいるだろう。行楽地や商業施設、飲食店が潤う時期だが、混雑の大きな原因にもなっているのが“レジ待ち”だ。海外に比べると、日本はまだまだキャッシュレス社会とはほど遠いのが実情で、いまだ「現金以外はお断り」といった飲食店も少なくない。
そんな中、去る4月16日にイオンがビザ・ワールドワイド・ジャパン(以下Visa)とタッグを組み、国際標準規格の非接触決済(以下タッチ決済。サインも暗証番号も不要)導入を発表した。
Visaの安渕聖司社長によると「日本では5000円以下の決済市場は100兆円規模だが、いまだ91%が現金支払い」で、この部分でのキャッシュレス化を推し進めたいという。
後払いのクレジットカード、今払いのデビットカード、電子マネーなど先払いのプリペイドカードがあるが、クレジットカードは比較的高額の商品を、デビットカードでは3000円から5000円ぐらいの買い物、1000円以下の商品は電子マネーで、といった使い分けが消費者の間では一般的だが、今回のタッチ決済はそのすべてで使えるサービスだ。
前述したように、日本では現金社会から脱していないのが現状だが、そうした実情に照らすと、イオンやイオンモールでの消費者の買い物は7割がキャッシュレスというから、意外に進んでいる印象で、「7割の内訳は4割がイオンカード、3割が(イオン系電子マネーの)WAON」(岡崎双一・イオンリテール社長)だと言う。
キャッシュレス化が進めば、消費者側から見ればレジの混雑というストレス緩和につながり、企業側もレジ関連の人件費削減につながっていくわけだが、今回のタッチ決済導入について、岡崎氏はこう続けた。
「2019年3月より順次導入し、1年後の2020年3月末までに整備して、イオングループのレジ10万台にVisaタッチ決済を導入していきます。また、今年9月からVisaマークの付いたイオンカードをお持ちの方は、タッチ決済用のカードに順次切り替えていく。
今後はスマホでも決済できるよう、スマホアプリの搭載も今年度中にはできるように取り組みたい。ただ、タッチ決済用のカードならお買い物で何%かオフにするとかまでは、まだ考えていません」
要は今後2年かけて新カードへの移行を促進し、訪日外国人数がピークを迎えるであろう、2年後の東京五輪に間に合わせたいというわけだ。