「今こそ日本には、朝鮮半島に関わらない戦略が必要」──朝鮮半島を長きにわたり取材・分析してきた東京通信大学教授の重村智計氏は、こう断言する。
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電撃的な米朝首脳会談の決定を受けて、日本の「乗り遅れ」や「置き去り」を危惧する論調が目立つ。しかし、そうした声は日本と朝鮮半島の歴史を全く理解していないゆえのものといえる。
歴史が教えるのは、「朝鮮半島に軍事的、政治的に深入りすると、日本は必ず大失敗する」という事実だ。中国が必ず介入するからだ。
古くは660年、百済が滅びた後に朝鮮半島に介入した倭国(日本)は、白村江の戦いで唐・新羅連合軍に大敗を喫した。近世においては豊臣秀吉の朝鮮出兵が大失敗に終わったこともよく知られる。いずれも、中国の介入で大敗北した。
近代になり、“朝鮮半島は日本の生命線”との覚悟で臨んだ日清、日露戦争では勝利を収めたが、戦争は列強の干渉を招き、日本が国際社会から孤立する一因となった。その後の植民地支配もうまくいかず、日本は韓国と北朝鮮からいまも恨まれている。
逆に日本が参戦しなかった朝鮮戦争では、戦中も戦後も「朝鮮特需」という大きな果実で経済が潤った。この戦争も中国の介入で膠着状態に陥り、米国の実質的な敗北で終わった。半島国家である南北朝鮮はともに小国であり、常に周辺国を巻き込んで利益を得ようとする。