6月15日に施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)にともない、ネットを通じて外国人観光客らに部屋を貸し出す「民泊」への関心が高まっている。
新法によってこれまで不明瞭だった民泊の法的位置付けが明確になり、今後は多くの人が参入することになるだろう。民泊を行なう事業者は各自治体へ届出することで、年間の宿泊日数が180日以下であれば、アパートや住居を有償で貸し出すことができるようになる。
そんな民泊ビジネスのターゲットとなる訪日外国人のトップは、依然として中国だ。
国土交通省の発表によると、2017年の訪日外国人2869万人のうち、4分の1にあたる736万人が中国からの観光客だった。民泊経営をする上で中国人観光客は重要な“顧客”だが、マナーの悪さなどが指摘される彼らを実際にゲストとして受け入れると、どうなるのだろうか──。
『ルポ 中国「潜入バイト」日記』(小学館新書)を上梓したライターの西谷格氏は、取材の一環として民泊サイトを使い、中国人観光客を自宅に宿泊させてみたという。
「民泊を仲介する大手サイト『Airbnb』に自宅の写真と説明文を公開すると、すぐに中国人からの宿泊オファーが入りました。ヤフオクやメルカリでモノの売り買いをするのと同じような感覚で、非常に簡単です。予約が入るとサイト上に『部屋は清潔にしてありますか?』『シーツは交換しましたか?』などと細かくアドバイスが表示されるので、初心者でも無理なく民泊を始められました」
初めての宿泊客は20代半ばの中国人男性2人。「3泊したい」という予約が入った。
「到着日は用事があったので自宅のカギを開けておき、住所と詳細な行き方を写真付きで教えて、先に入っていてくれと伝えました。会ったこともない外国人に自宅を明け渡すのは少々不安もありましたが、ある程度は割り切る必要があるのかもしれません」(西谷氏)
そんな西谷氏の不安とは裏腹に、現われた中国人男性たちは礼儀正しかったという。
「自宅に戻ると、『大家さん、どうもありがとう! お世話になります。とても快適で素敵な部屋ですね』と挨拶されました」(西谷氏)
だが、チェックアウト寸前になって“事件”が起きた。