もし今、安倍晋三首相が解散総選挙に打って出たとして、戦う敵は野党ではない。自民党内の反安倍勢力こそが、選挙戦で首相の前に立ちふさがるのだ。その分裂選挙のキーマンになるのが小泉進次郎氏だ。
昨年の総選挙では安倍首相に代わる「党の顔」として全国を応援に回り、当落線上の候補に勝利をもたらす“救世主”となった。
9月に予定されている自民党総裁選でもその去就が流れを決めると注目されており、解散風の中、党内で「進次郎氏の支援」を求める声は一段と強まっている。選挙に不安を抱える安倍チルドレンたちが「安倍支持」陣営にとどまるか、それとも「反安倍」に回るかは彼の行動に大きく左右される。
その進次郎氏は安倍政権後をにらんだ若手議員の政策勉強会を次々に立ちあげ、総裁選について興味深い発言をしている。
「今年は党総裁選もあるので『次は誰か』と言われるが、もうそういう時代じゃない。『次は誰か』ではなくて、『次はどのチームか』という時代だ。日本に降りかかってくる多くの課題や問題を一人一人がプロフェッショナリズムを発揮してチームになって当たっていく時代だ」(4月26日の自民党本部での会見)
総裁選はポスト安倍に名前のあがっている石破茂氏や岸田文雄・政調会長、野田聖子・総務相といった総裁候補個人の争いではなく、「安倍政治を継承する」勢力と進次郎氏ら次の時代に向けた「新しい政治」をめざす勢力の争いと捉えていることがわかる。岸田派中堅議員は、進次郎氏の発言の裏をこう読む。