財務省の前事務次官や厚生労働省の健康局長、そして群馬県のみなかみ町長などセクハラ問題が後を絶たない。「セクハラ罪という罪はない」と開き直る発言も飛び出す始末だが、一般企業ではすでにセクハラ行為は立派な懲戒処分の対象となっている。社会保険労務士の稲毛由佳さんが、男女間、世代間で認識の差がある「セクハラ該当ライン」を指南する。
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セクシュアルハラスメントとは、性的な言動により、職場環境が悪化する、能力が発揮できない、または自分の意に反する性的言動を拒否したことで、業務上の不利益を受けることをいいます。
男女雇用機会均等法でセクハラ防止が定められたのは、1997年のこと。まだ20年強の歴史しかありませんが、入社の時からセクハラ教育を受けてきた20代~40代前半の世代と、社会人になってしばらくたってから後付けでセクハラ教育を受けた40代後半以降の世代とでは、セクハラに対する大きな世代間ギャップがあります。
40代後半以降の世代の上司が「このくらいは大丈夫だろう」と思っていることは、20代~40代前半の部下の世代からすれば、大抵セクハラです。
セクハラに該当するか否かは、相手の受け止め方次第とよく言われます。確かに、セクハラの判定は、相手が不快に感じたかどうかが大きな判断ポイントとなります。しかし、この「人による」という感覚が、間違いのもとです。
どのような性的言動であれ、仕事上、必要ではないものは、すべてセクハラに該当します。人による違いがあるとすれば、セクハラを受けた人が被害を訴え出るか否かの差でしかありません。
セクハラの代表的な言動が、福田淳一前財務事務次官の女性記者への「おっぱい」発言のような性や身体上のことに関するストレートな言動です。これは一発で“アウト”です。
ただし、身だしなみや服装に関する指摘は、セクハラにも業務上必要な注意にもなりうることを知っておいたほうがいいでしょう。