【視力差が0.5以上 骨折、認知症のリスク】
他にも、左右で数値が異なる例として、「視力」がある。二本松眼科病院の平松類医師は、視力差を軽く見てはいけないと警鐘を鳴らす。
「なぜ左右で視力に差が出るのかは医学的にわかっていません。ただ、左右で視力差が0.5以上ある人は疲れやすく、気分が悪くなったり、頭痛がしたりして日常生活にも影響が出ることが多い」
特に“利き目(*注)”の視力が落ちた場合は注意が必要だ。
【*注/利き目の確認法=腕を伸ばして指で輪を作る。その輪の中に、遠くにある対象物(時計など)が収まるようにする。片目ずつ閉じて、対象物が輪の中に入っているほうが利き目となる】
腕や足と同様、人間の身体には左右どちらかに優位が生じるが、利き目は一般的に右目の人が多いとされる。無意識のうちに同じ目を酷使して、左右に視力差が生じることで遠近感が掴めなくなり、雑踏で人にぶつかったり、階段や坂道で転んだりする可能性が高まるという。
「高齢者の場合、転んで骨折などをすれば、そのまま寝たきりになるケースが少なくない。寝たきりになれば、認知症にもなりやすくなる。だから、高齢者で視力差がある人は眼科を受診して、視力にあった眼鏡やコンタクトを使うようにしてください」(前出・平松医師)
人間の体に左右差があるのは誰もが知っていることだが、その差がときに重篤な疾患の“サイン”であることも忘れてはならない。
※週刊ポスト2018年5月18日号