国内

保育士は売り手市場、突然辞められない保育園の見極め方

保育士が定着しない保育園はどう見極める?

 3月末、横浜市鶴見区にある認可保育園「寺谷にこにこ保育園」では、園長と主任を含む保育士11人が一気に退職した。その結果、4月からは認可保育園にもかかわらず、運営を縮小せざるを得ない状況に陥っている。具体的には、新3~5才児クラスが廃止され、37人の園児たちは市内の別の保育園への転園を余儀なくされた。

 そして、「寺谷にこにこ保育園」を退職した11人のうち、園長と主任を含む7人が新設されたばかりの「鶴見中央はなかご保育園」で働いているというのだ。「保育士の引き抜き」があったと捉える向きもある。

 大人の事情によって子供たちが悲しい思いをするのは言語道断だが、転園する保育士たちにもやむにやまれぬ思いがある。都内の認可保育園に勤める前野亮平さん(仮名、27才)が言う。

「私は4月に2度目の転職をしました。横浜市の大量転園は異例だと思いますが、保育士にだって職場選択の自由があっていいと思う。とくに保育士の仕事は子供や親、職員と生身の人間を相手にするから、人間関係のトラブルが起きやすい。そのうえ、同じ水準の給与でもイベントが多い保育園は残業が多かったり、人手が不足している保育園は休日出勤が多かったりと、入ってみて『ブラックだ』と気がつくケースも多いのです」

 彼らの転職を後押しするのが、高い求人倍率だ。保育園勤務の経験がある保活アドバイザーの長岡美恵氏が言う。

「保育士は今、売り手市場ゆえに転職しようと思えば、何度でも転職できてしまうという現状がある。実際、1年ごとに園を移るという保育士もいます」

 厚労省の調査によると保育士の求人倍率は、山梨・群馬・鹿児島を除くすべての都道府県で、 1.0倍を超えており、東京都では 4.63倍という高い数字が出ている。

「周りを見ても1つの園に長く勤める保育士は少ないし、求人もたくさんあるから、子供のために力を尽くそうと思う一方、どこかで『いやなことがあったら辞めればいい』という気持ちを持っていることも本音です」(前出・前野さん)

 しかしこの状況は、保護者の立場からすれば、たまったものではない。ただでさえ保育園に入りづらいのに、ようやく入園しても転園を強いられることもあり得るのだから。では、保護者たちはどう保育園を選べばよいのか。前出の長岡氏がポイントを解説する。

関連キーワード

関連記事

トピックス

天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン